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- トップハート物語(437)立志伝昇竜編
- 12/01/06
- 2003年(平成15年)6月初旬。障害のある方にとって、ヘルパーさんは社会生活を維持する為に手足となってくれる大事な存在だと思う。それを認識し本当に心から接しているヘルパーさんと、心に一物を持ちながら、それが表に出ないように隠してヘルパーをしている人が居る。
最初に、その男と会った時は何となく嫌な感じがしたが、利用者がどうしてもこの人に移動介護を担当して欲しいと言うので、登録ヘルパーとして契約した。その男は盛んに
「忙しいので、この人とその仲間の仕事に限定して欲しい。ガイドヘルプだけで、ホームの方は遠慮したい。」
と言っていた。
最初依頼したのは、利用者本人。その後に利用者から連絡が来た。ガイドだけその男に頼んで、移動手段の車と運転手は当社からボランティアでというものだった。それは断った。それなら自分で運転するので、車を貸して欲しいと言うのでそれも断った。運転中にガイドは出来ないので。そんなことは分っていると思う。
もう10年もガイドヘルパーをしていて、かなりの実績があり、資格もほとんどの障害の種類に関わることが出来る内容を有していた。その実績を語る言葉に酔っていた。多くの関わりがボランティアと熱く語っていた。
その全身性障害者は、言葉は余り不自由しなくて、身体的なものだけだ。その利用者を中心に、多くの仲間が存在する。そのうちの3人をその男性ガイドヘルパーが移動介護だけ担当している。所属は遠方の社会福祉協議会。
利用者は外出が好きで、今度文化祭でバンド演奏をする為に練習が何回かある。その時間は長く、夜に掛かる。
当社は、24時間対応で若手のヘルパーさんが多い。みんな20代から30代の障害のある方が集まったところで、当社の利用者が羨ましがられたのは言うまでも無い。彼ら彼女らもメール交換したり、茶髪に染めているように話し相手も同じ年代を求める。
何人か、契約を当社に変更したいと言い出しているのだ。障害者自身が親に言って説得をして、何人か面談もした。しかし、社会福祉協議会という安心感のある事業者から名も無い事業所に変更するには相当の覚悟が必要だ。
親と子の葛藤を目のあたりにして、当社は、利用者が成人といえどあくまでも親の理解を得ることを、両者に伝えていてそれ程営業行為は行なっていない。
でも、利用者の希望は切実だ。
「ホームヘルパーはおばさんで話が合わない。面白くない。9時~5時までのプランしか立てない。土・日曜日は休み。ガイドヘルパーさんの空いている日しか、移動出来ない。」
自由に動いている当社利用者の先輩にならいたいと切望しているのだ。
ついに、利用者が親の同意を得て自分で社会福祉協議会の担当者に契約の解約の相談をして、了解を得たと聞いた。それと同時に、当社の利用者のところへその男性ヘルパーが、夜訪問し当社に対する罵詈雑言を並べて行ったという。
私が、利用者宅へ経緯を聞きに行った。
「実は、ガイドヘルパーのKさんが来て、自分が担当している彼らがお宅と契約してしまうと、自分が行けない日にその利用者に誰か入ってしまう。そのヘルパーさんが気に入ってしまったら、みんなそっちへ行ってしまい仕事がなくなる、と言っているのです。」
「それは仕方の無いことじゃないの。」
「TもYも、みんないつでも頼めるお宅を契約をしたいのです。それは今も確認しました。だけど、今でお世話になっていたKさんの事も気になって。」
「だって、彼らのガイドの時は頼むと約束している筈だからいいじゃないか。」
「いや、いつも時間が合わない。打ち上げなんかやる時には夕方からなので、Kさんは担当出来ないのです。」
「ちょっと待って。それは関係ないのではないか。利用者の依頼を受けて、援助をするのだからそれが出来ないのでは、できる所を選択するのは当り前。」
「それに、僕がお宅に騙されていると言い出して。車の移動の時は、2人付いて来るが自分だったら一人で良いと言っている。事故が起きたら保険が無いとも。」
「何を言っている。運転中は介護が出来ないのでヘルパーさんをつけている。一人で運転して時間をカウントしていることこそ問題だ。損害保険は当然あり言うまでも無い。」
「契約時間を5時間だけにしてくれと言っている。車も、社会福祉協議会はダメなのでTの車とか運転して、報告はバスや電車で移動としている。」
「そんな時間までガイドヘルパーが口出すことは問題だ。そんなことまで言うなら移動介護35時間、日常生活支援55時間全部頂きます。」
「僕も本当に、怒っています。もう一度ここでTに電話しますので、聞いてくれますか。」
そう言って障害者本人に電話して、私が意思を確認した。
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