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- トップハート物語(434)立志伝昇竜編
- 12/01/03
- 2003年(平成15年)6月末。痛恨の出来事が早朝もたらされた。
午前6時15分、美智子さんから要介護度5の利用者が亡くなったという連絡を受けた。
「社長、知っていますか。Tさんが亡くなられたそうですが。昨夜担当したヘルパーさんに連絡を取っているのですが、連絡が取れないのです。」
「何、何を言っているのか分らないが、亡くなったってどういうことなんだ。何時に亡くなったのだ。」
全く何処からも何の連絡も無い。
いつもだったら担当ケアマネジャーから、何かあると一番に連絡が来るが、何にも来ない。
「朝4時頃に亡くなったそうです。」
「どうして亡くなったのだ。」
「朝、4時頃に大きなガラスの割れる音がして近所の面倒見ている人が発見した。その人が、知人の当社のヘルパーさんに連絡し、私に連絡が来ました。」
近所の床屋さんが、あれこれと身寄りの無い利用者の面倒を見ていた。知人のヘルパーさんはその亡くなった利用者の担当ヘルパーさんで一番深く関わっていた。そのヘルパーさんが、仲の良い美智子さんに連絡。美智子さんの実の姉が、前日の担当ヘルパーさんだ。実姉のことなので心配になって連絡を取ったが、連絡がつかないので私にとりあえず報告となった。
まず、ケアマネジャーに連絡した。留守番電話で通じない。サービス提供責任者に連絡を取った。留守番電話で通じない。管理責任者に連絡を取った。いつも、朝8時にならないと電源を入れないので、一番最後の連絡となったが珍しく電源が入っていた。
「Tさんが亡くなったそうだ。」
「えっ、何ですって。」
眠そうなしわがれた声で返事があった。取り合えず、事実だけを話して電話を切った。
もう一度、最初に報告をもたらした美智子さんに連絡した。
「詳しい話を聞かせてくれ。」
「車椅子で、高い土間から下に落ちて、その弾みで外の道路に投げ出された。入り口のガラス戸を突き破って路上に倒れていたようです。」
管理者から電話が入った。
「今日の朝の担当ヘルパーさんが、怖くて行けないと言うので私がとりあえず向かいます。」
十数分後、利用者宅に着いた管理者から連絡が入った。
「警察に来て下さいと張り紙がしてありますので、行って来ます。」
「何て書いてあるのか、正確に読んでくれ。」
「『ヘルパー派遣会社の方、朝来ましたら警察に来て下さい』と書いてあります。」
「分った、今から俺も行く。警察でな。」
時間は7時30分頃だった。ケアマネジャー、サービス提供責任者へ連絡を取ったが、全く先程と同じ状態だった。
8時頃に警察に着いた。担当刑事課の刑事が顔を出した。
「現在、検視中なので少し待って下さい。」
と言って現場の図解をして話し始めた。
内容的には、まだ何の結論が出て居ないので何とも言えない。美智子さんが報告してくれた内容にほぼ間違いは無い。
「事件性は無いので、直ぐに終ると思います。待っていてくれますか。」
「済みません。実は介護の仕事がたくさんありますので、今動けないと待っている方皆さんに迷惑が掛かります。午後でしたら、何とかなりますが。」
「そうですね。」
と言って、電話番号を教えてくれた。私は現時点で把握している遠い親戚の方。後見人に近い立場のケアマネジャーの連絡電話番号を教えた。
私はそのまま、総合病院の介護保険外のヘルパーとしての仕事に向かった。向う途中に、最初に連絡をくれた美智子さんに最新の情報を報告した。
自分の実姉が何か関わっていないか心配していたが、全くかかわりが無かったので安心したようだ。その実姉は、日曜日の朝と昼だけで、前夜は関係が無かったし事故は明け方4時では、関わりようが無い。実の妹の美智子さんもそれで安心した。
保険外のヘルプのあと、市内の病院へ向った。4ヶ月間も入院していてこの日に退院する利用者。援助を毎日行うことになっており、その打ち合わせを兼ねてケアマネジャーに会う積もりで居たが、同じケアマネネジャーがあの事故のために忙しくて顔を会わせただけだった。
動きが慌しく、連絡や受信が多くあったので何と午前中で、携帯電話の電源が無くなってしまった。
一段落して、銀行へ向った。この日初めて4月分の支援費が入金されるので、2ヶ月間経費先払いで、心待ちしていた。しかし、先日ある市から通知が来て、計算が間違っているので大きな金額が入金されないことが分った。
月末に入金される筈で、その資金を本社預金に入金して社員の給与の支払いとする事にしていた。
通帳を打ち出してビックリ。入金予定の230万円が50万しか入金されていない。何かの手違いなのか、40万円余りは事前に連絡が来ていたので入金されないと分っていたが、180万円も少なくなっているとは。
挙句の果てに、銀行の中でカードを落としてしまって、拾った方が銀行側へ届けてくれて見つかったのだが、拾得物となり自分のだと分っていても証明する物と届出印鑑が無いので、貰うことが出来なかった。何てことだ。また、妻に不足分の現金を振り込んで貰わないと社員の給与は支払えない。ついに私の給与はまた2ヶ月間受け取ることが出来ない事になった。
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