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トップハート物語(425)立志伝昇竜編
11/12/17
2003年(平成15年)6月中旬。登録ヘルパーさんの給与支給日が21日と定めている。今月は土曜日に当たるので23日に振込むか、20日振込むか迷った。結論的には、預金残高があれば20日に支払いをする事にした。その計算が夜にやっと終了した。
 介護保険関係はすでに今週初めには出来上がっていたが、支援費関係がまだで何度か催促して入金一覧表が完成した。総額500万円を少し超える。月末には社員の給与が260万円ある。10年後の今年の支払い額は、登録ヘルパーさんが650万円、社員の総月額が1000万円になろうとしている。
 その遣り繰りも大変だが、収入を計る楽しさやバランスを維持するために考える楽しさも有る。雨に振る日なんかゆっくり考えて、実行に移して結果を待つ。色んな考える事業が1年にひとつうまく行けば嬉しい。
 その計算が終って、一覧表を作成して後は明日銀行へ行って振込みをするばかり。ホット一息をついた場面だ。
 そんな時、本社管理責任者Nから連絡があった。一通りの報告事項が終った後、
 「大変なミスをしてしまいました。」
 その言葉を何度聞いたことか。
今までも、社員の給与振込を忘れたり、所得税を引かないで振込んだり。自分がケアに入る時間を忘れたりしていた。そのたびに、最初にその言葉を吐くので今度は何かなと、それ程の驚きを得るとは考えないで次の言葉を待った。
 「実は、乗降介助の届出をした運転をする人材の免許を取ったあとの経験年数が3年以上に満たない者が居ました。」
 「何。何人なんだ。」
 「二人です。良く確認をしないで登録してしまいました。仕事もしてもらっています。」
 「誰と誰だ。何年の経験なんだ。」
 「K君とM君です。免許を取得して2年くらいです。本当に済みません。」
 済みませんと言われても、今回ばかりはどうしようもない。
既に届出が終ってしまっている。実績も上がっているという。
 「どうして確認を怠ったのだ。これは最低要件ではないか。この乗降介助の指定を取っている事業所は自社をより厳しい目で見ないといけない。違反事項ではないか。問題があれば取り消しになる。」
 「本当に済みません。K君は2件でそんなに多くはないのですが、M君は10件くらいでしょうか。あとから実績を調査して報告します。本当に済みません。」
 「今月の実績から記録は残しても、介護保険請求はしないで下さい。ケアマネジャーにその旨報告して下さい。」
 分りましたと答えて、何度も謝っていたが、私に謝られてもどうしようもない。私がどうのこうのという事例はない。
 その話を聞いている途中から、この乗降介助の加算事業所の指定を返上しようかとも考えた。真剣に検討する余地が有る。
 しかし、期待を込めて満を持して投入した人材がこのような問題を次々起こすのでは、これから先が思いやられる。本当に命取りになり兼ねない。ショックが大きく、この日の仕事は打ち切って埼玉の家に帰りたいと思った。
 今日から、2コースの訪問介護員養成研修の募集が始まった。その申し込みに対する案内状の作成と発送準備がまだだったので帰る訳には行かなかった。先ほどの電話で重い気持ちになり、急に話をしなくなったので傍に居た智子さんが気にして、何事があったのかと聞いて来たのでつい愚痴をこぼしてしまった。いけないと思いながらも、いつも身近で信頼している彼女だから安心して話してしまう。部屋に戻った時には、夜9時を回っていた。食事は、夕方コンビニで「助六セット」を買って食べたので止めた。この日はこんな終幕だった。真剣に、乗降介助の加算事業所の返上を検討している。
 朝にいつもその利用者に一緒に対応している宏美さんと6時50分駐車場を出発、利用者宅へは15分ほど早く到着した。暫く時間調整して、約束の7時20分にお宅へ伺った。カギは預かっているが、一応インターホンを鳴らして返事があってから入った。
 「今度から、インターホンを鳴らさないでカギを開けて入ってくれ。その為にカギを預けている。」
 そう言われた。
カギを預かっている苦しさがあり、忘れた時のことをどうしても考えてしまう。人も代えることが中々難しく 
「君がずっと来るんだな。」
 と念押しされている。
ケアマネジャーからも
 「後がないと思って失敗しないで下さい。大変な人ですがお願いします。」
 と何度も連絡があった。
 2度目だが何の大変さもなく、90歳とは思えないほど車中の会話もスムーズで問題がない。今日は、病院内での車いすでの移動、治療室でのベットへの移乗などの介助中よく携帯電話での呼び対応に苦慮したが一番問題はその利用者のケアマネジャーからだった。
 自分が大変ですから、と何度も心配しているのに一番大事な時間に電話で呼ぶ。病院内では取れないので、時間を作って電話をした。何度電話をしても、話中で繋がらない。同行の宏美さんが呼びに来た。
 「利用者が探しています。トイレ介助をお願いしたいということです。」
 必要な時に居ないのは、介助していないことだと言われて仕舞う。全く困難を生み出すケアマネめ。

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