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トップハート物語(421)立志伝昇竜編
11/12/11
2003年(平成15年)6月中旬。昨夜9時半過ぎに、ケアマネジャーから電話があった。余り取引のない居宅支援事業所だ。1件だけ、私がライフサイクルとして、以前所属していた事業所、私が介護事業の立ち上げをした指定事業所で対応していたプロ野球選手だった方の援助を今でも私がしているが、そのケアマネジャーで当初のケアマネから引き継いだ方で、私とはそれ程面識がない。
 「遅くにスイマセン。お宅は土曜、日曜日はどのように成っていますか。」
 「営業しています。」
 「時間はどうですか。」
 「24時間営業です。」
 「突然ですが、明日新たにお願いしたい援助があるのですが出来ますか。」
 「ハイ大丈夫です。」
 「スポットになるかもしれませんが、通院介助なんです。11時に家を出て病院内の付添いをお願いしたいのです。」
 「分りました。」
 「援助は旦那さんですが、奥さんも着いていくと言っているのですが。奥さんも旦那さんも要介護2です。今後、このお二人の援助はお宅に頼むことになると思います。宜しくお願いします。」
 「分りました。移動手段はどのようになっていますか。」
 「車椅子でお願いします。」
 「明日は、雨が降りそうなのですが当社の車輌で行っても構いませんか。」
 「それはダメです。市の責任者に聞いても自家用自動車でする場合は、乗降介助になっていくら時間が長くても100点しか貰えないということです。先日の、市のケアマネに対する説明会でもそのように言っていました。」
 「その説明会は何時のことですか。」
 「先月の、半ば過ぎです。もう少し調べて対応しないといけないですよ。かなり見方が厳しくなっていますので。」
 「それでは、雨が降った場合でも車椅子移動ということですね。」
 「そのようにお願いします。余り雨が激しい場合は、タクシーを使うことになると思います。私は休みなので何かあったら、事務所のほうに電話を入れて下さい。私に連絡が来ると思います。奥さんは、気難しい方なので十分気を付けて下さい。それから、早く契約の印鑑を貰って下さい。」
 直ぐ、管理者へ連絡をとってスケジュールの変更をした。新規で気難しい困難事例だったら、私と管理者の一美ちゃんが向う結論に自然に達した。
 時間の余裕を見て早く到着した。一美ちゃんと十分打ち合わせを行った。いざ、と構えて訪れた老老介護世帯は、そのように構える必要性はなかった。
 しかし、奥さんから約1時間話を聞いていた。留まるところを知らない、必殺の話し振りで、私が訪れた目的はアセスメント調査で、それを元に契約書を作らないといけないのに何も聞き出すことが出来なかった。
 聞こうと思って、
 「緊急連絡先は・・・」
 と言うより早く、そのことなんだけれどと関連があるように話し始めるが、段々全く関係のない話に移って、とうとうと自分の言いたいことを話し始めた。旦那さんに何度注意をされても、聞き入れない。そのうちに、スタート時間が来てそれも過ぎ去ってしまった。私も2件ほど通院介助が待っていたが、最初の1件は間に合わなかった。
 雨が降って来た。ケアマネジャーから電話が入った。
 「どうですか。大丈夫ですか。」
 「大丈夫です。これから出発しますが雨模様です。」
 昨夜は「非通知」設定の電話だったが今日は携帯電話番号が読み取れる。
 「雨が降ってきましたか。危ないですから、車を使って下さい。今出ている番号が私の携帯電話ですので、何かあったら電話を下さい。」
 「分りました。」
 5月30日付けの厚生労働省から各都道府県に出された通知の「Q&A」に<自社の車輌で通院等する場合に、運転者の他に訪問介護員が同乗して利用者の気分など確認をする場合には身体介護とする>
と明記してある。
 ケアマネジャーの市からの情報は古いのだ。この市の多くのケアマネジャーから、その根拠を元に身体介護で仕事を頂いている。
 このケアマネジャーとしては、目をつぶった積もりで車をと言っていたが、そのことを言うとプライドが傷付くので黙っていた。
 奥さんの話の多くは、以前来た訪問介護事業所の対応と、ケアマネジャーの言動に対する批判が多かった。その以前来た訪問介護事業所とは、私の実兄の会社で私が立ち上げた事業所だ。
 「そんなことは言っていない。」
 と、言って中座して行ったと言うがこの通院に関することに違いない。
ケアマネジャーのことは、利用者自身が言っていないことを、他の施設、訪問介護事業者に言っていると憤慨していた。
 ここ1ヶ月内外で、私が当初立ち上げた事業所、つまり実兄の会社から移って来る利用者やヘルパーさんが多く、経営がどうか少し心配になってくる。
 ケアマネジャーの言う気難しさは無く、話し相手が欲しいのだろう、程度だった。

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