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- トップハート物語(420)立志伝昇竜編
- 11/12/10
- 2003年(平成15年)6月中旬。夜も9時半を回った頃に、電話が掛かって来た。管理責任者からだ。嫌に長い無意味な言葉が続いていたので、何となく不安な気持ちだった。
「実は大変なことが起きました。」
と前置きして、以前私のポリテク埼玉の後輩をサービス提供責任者として採用したことを恨めしく表現した後、
「本当に大きな置き土産をして行った。」
と、中々具体的なことは言わない。
実は彼がいる時に、精神的な病に冒されているヘルパーさんを採用した。その管理責任者は、
「必ず大変なことが起きるから。」
と言って反対したが、
「社会参加をさせて行かないと。」
と、サービス提供責任者は手元に置いて使用していた。
私も、その精神に賛成だったので反対はしなかった。
そのことが尾を引いていた。サービス提供責任者が辞めてからは、自然と彼女の仕事がなくなった。
しかし、ケアマネジャーは彼女のひたむきな仕事振りを覚えており、ある利用者の援助に指名して来た。その利用者は由緒あるお宅で多くの女中を使用していたとの話だ。つまり、女中代わりに使うという類だ。
仕事振りは問題なくこなしていたが、あるときにある病院へ行った。その医院の院長がその利用者の息子だった。細かい内容は別にして、診断説明が気に入らなかった彼女は、突然病が発症して自分が分らなくなり、その医者の母親つまり利用者の生活内容を口走り罵ったという。
医者は、彼女が派遣されていることは知らない。
「外部の人が自分の家や母親のことを何故知っているのか。」
となった。
追及された時点で、我に還ったが既に遅い。彼女は母親にそのことを話したあと、彼女のカルテから自宅の電話を知った院長が彼女の家に電話を掛けて、母親に、
「どうして、家の内情を知っているのか。」
と、追求したが母親は、当社への影響を考慮してただただ謝るばかり。
その後、当社の管理責任者へ事の顛末を連絡して来て、どうしたら良いのか指示をして欲しいという。
「どうしたら良いのか。ひとつは医者に事実を話して謝る。」
「そうした方が良いです。」
という私の言葉を遮るように、
「もうひとつは、まだ当社の存在が分っていないので、このまま何もしない。どちらが良いですか。」
「困った問題です。一番重要な秘密保持を破った訳ですから。契約書に従がって処理をする他ないでしょう。事実をそのまま話して下さい。」
「ケアマネジャーが指名した訳ですから。」
「それでは、そのようにケアマネジャーから指名をされて派遣した事実もお話ください。」
「ケアマネジャーは、その様な病気を持っていることは知りません。その事も話をしないといけなくなります。」
「それはしょうがない。とにかくケアマネジャーに事の顛末を話して、当社の考えを明言して下さい。」
この後に、また私の後輩が残して行った問題をなじっていた。
キャンセルが。家族の依頼で1年前に援助をスタートさせた。若いヘルパーさんをという希望を叶えてそうした。男性ヘルパーさんをというのでそうした。数ヵ月後に転倒事故が起こりヘルパーさんを変更した。何回かあとに、ヘルパーさんが尋ねて行くと鍵が掛かっていることが3回続いた。
心配したヘルパーさんが何度も戸を叩いたり、出掛けているのかと長い時間待って居たり。実は、家に居て拒否をしているのかカギを掛けているだけだった。家族の方と話をして、援助がなくなった。
半年振りに、家族から社員を通じて昨夜体調を崩したようなので、と通院介助と生活援助依頼があった。朝に通院をしようと向う前に社員が電話をして確認して利用者宅へ向った。
どこも悪くないから行かないという。やっぱり、と諦めた。社員はかなり落ち込んで謝るばかり。その時に、午後の生活援助の話をすると買い物と調理をして貰いたいという。
午後の約束の時間に心配になったので、私と社員がヘルパーさんの紹介を兼ねて向った。私は外で待っていたが、紹介にしては社員が中々出て来ない。
暫くして、二人で出て来たのでヘルパーさんは買い物に行くのかと思った。
社員から出た言葉は、
「今日は、顔合わせだけで良い。買い物も調理も自分で終らせた、と。本当にもう嫌だ。私の言い方が悪いですか。もっときつく言った方が良いですか。」
「何を言っている。本人は何も分らない。今までの生活歴や、隠れていた本心が出て来ている。これからが大変だ。ヘルパーさんに、きちっと記録を残して時給を出すように管理者へ連絡して下さい。」
そう言って、今日は終わった。
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