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- トップハート物語(417)立志伝昇竜編
- 11/12/07
- 2003年(平成15年)6月中旬。日頃、私は
「この大阪の人間は、信用が置けない。人を騙して平気だ。うまく騙せれば満足している。騙されれば、仕方が無いと諦める。やられた、と思うだけ。どうしようもない人種の集まり。」
と、言ってはばからない。
「お兄ちゃん」と私を呼ぶ利用者がいる。80歳を裕に超えたおばあさんだ。通院介助だけが援助内容だが、ここ2月ほど他のヘルパーさんや社員に任せた。
家族などから色んなクレームが付いたが、我慢してもらっていたがついに管理者の対応が悪く、当分の間キャンセルになっていた。
通院介助時に、もうひとつの病院へ行きたいと希望したのに連れて行って貰えなかったと、クレームが付いた。その時の、ヘルパーさんは当社の管理者だった。
「どうして連れて行ってあげなかった。」
「事前に聞いていなかった。」
何という対応か。
考えてみたが、彼女はその曜日だけ習い事をしていて帰りたかったようだ。途中で人を代えても良かったものを。その挙句に、ケアハウスに住んでいるのに、
「この日、血液検査で朝食を摂らないように言われていたのに、食べてしまって検査が出来なかった。ヘルパーさんのプロとして責任がある。」
と、難癖まで付けられたおまけ付きだった。そんなことがあるので、久々に依頼があった時には自分が行くことにしていた。
「兄ちゃんが来ない間は、体調が悪くなっていた。」
と、言われて私は殊更機嫌良く懇切丁寧に応対した。
当初の1件の通院の予定が、耳鼻科医院と歯科医院が加わった。通算3時間半の通院介助になってしまった。
当初Q&Aでは、一旦通院に出たら病院のハシゴはできないという見解だった。しかし、合理的な理由で必要がありケアプランにあれば有効となっていた。
12時に迎えに行くと言っていた通院介助の利用者宅に、ギリギリだった。この利用者も、ケアマネジャーから
「点数が不足しますが、どうしても総合病院へ言って検査を受けて欲しいのです。佐藤さんが行ってくれるなら行くと言っているのですが、お願い出来ますのでしょうか。他の人では行かないと言っているんです。」
と言われて、大事な会議を欠席してその通院介助に向った。
いつも長時間の時には付き添いをしているが、要介護3が今月から突然要支援になってしまって。ケアマネジャーも頭を抱えて、自分のが所属している公社からヘルパーさんを生活支援に派遣しているが、週3回3時間を2時間にしたと言っていた。それが、今回の通院介助で、1時間半に減らすという。
大学付属病院へ行って3時間の介助だった。大変重い病気に掛かっていて、親族も心配して近県から来て何度か同行した。
都合6時間半の通院介助を終えて、事務所へ戻ってきたのは午後3時頃だった。勿論、私の介護時間なので点数からはみ出す分は請求が出来ないように、院内介助の分は援助から除外する。
移動中に、転送電話でハローワークから面談希望の報が入った。30代の男性で、運転の職歴がありヘルパーの資格と、施設への勤務経験が魅力だった。
4時に面談をした。凄い好青年で、時間的な問題も条件的な問題も無いので、本社で採用することとした。本社は、仕事の割りに人材が不足している。その点、必要な能力を備えていそうだったので採用することにした。
毎日何人か、面談をするが中々人材がいない。最近では稀に見る人物だった。一旦間を置いて、再度来てくれる様に頼んで5時半に本社へ向った。6時過ぎから7時にかけて、当社の管理者4人が集合した。
再度、条件面とか確認して早速翌日から仕事の開始となった。夜も8時近くに最初援助をする利用者宅へ行き挨拶をした。通院介助で、男手が必要だと言われていた利用者で喜ばれた。みんなが喜んだ採用だった。
夜の9時には、仕事を切り上げて部屋に戻った。「たかべ」のムニエルとレバニラ炒めをメインデッシュにして食べた。国産のニンニクが、買って来たばかりなのに腐っていたことなど、この地だから我慢できるくらいのことだった。
社員に、
「あいついい奴だけど、本当に大丈夫かね。いつも喜んで騙されるから、つい疑ってしまうけど。」
夜も12時近くだったようだ。既に、半分は夢見心地だった。携帯電話が鳴った。公衆電話だった。
「スイマセン。先ほど面接を受けたUですけれど。」
「はい、どうしましたか。」
「実は、あの後帰って妻に話をしたのですが、収入の面で生活をしていけないようなので、大変申し訳ないですが辞退したいのですが。」
「それはどういうことですか。」
「実は、妻が多額の借金をしていたらしくて。」
「月にどのくらいあればいいのですか。」
「いや、半端な額ではないのです。前のように長距離運転でもしないとやっていけないような。本当に皆さんいい人ばかりで、本当は働きたいのですが。」
「明日だけお願いするわけには行きませんか。もう利用者に挨拶も済んで、待っています。」
「勘弁して下さい。本当にいい人ばかりで、私は本当はお宅で働きたいのです。本当にすみません。」
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