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トップハート物語(416)立志伝昇竜編
11/12/06
2003年(平成15年)6月上旬。久々に帰省した。目的は、妻の実家の跡取り息子結婚式に出ることだった。
 帰省する朝、役所へ行き7月から実施する訪問介護員養成研修2コースの申請に行った。少々の訂正箇所と一部書類差し替えで済むことになったので、予定通りに実施出来る。庁舎を11時に出て、通院介助をしている利用者とヘルパーさんを迎えに行った。いつもより時間が掛かって、4時間半の身体介護となった。
 以前なら、全部の時間が身体介護なので喜んだが、今は1時間半までで残りは旧家事援助の金額なので、1時間当たり1621円の収入に対してヘルパーさんに1400円支払うので厳しい。
 事務所へ戻って、少しでも事務処理を行ってと思ったが出来なかった。自分の部屋に戻って帰省の準備をした。出発ギリギリまで、管理者とヘルパー派遣調整とを行った。
 夕方5時過ぎの新幹線に乗って、10時頃にさいたま市にある自宅へ戻った。つい先日まで、失明の危機感を持っていたので、移動が手探り状態で家から一歩も出なかった妻が車を運転して駅まで迎えに来た。それも夜にだ。余りの変わりように、言葉を出さなかった。
 子供がまだ帰宅していなくて、久し振りに二人で話をした。次々社員に騙されて被害を被っている。その後方支援を多額の負担という事で妻が出費しているので、事情を説明しない訳にはいかない。
 「あの地はトンデモナイ奴ばかり集まっている。折角、一生懸命頑張って会社を良くして行こうと思っていたのに、詰まらない事をして俺も元の仕事に逆戻り。これだからいくら頑張っても、大したことは出来ない。みんなで邪魔をして壊してしまう。それも考えられないあくどい手で。」
 「これからは、社長なんだから現場あまり出ないで少しは管理しないと。」
 「俺は管理なんて出来ない。仕方が無く今の立場になっただけだから。利用者に接していないと。」
 「そんなこと言っても社長なんだから、管理する責任がある。もう少し自覚しないと、返って真面目に働いている皆に迷惑が掛かる。」
 「困ったなあ。どうにかならないかな。」
 なんていう会話を交わしていたが、妻は内心何をしているんだと、腹立たしい思いをしているだろう。男のように、闘争心の強い性格なのだ。一応の役員でもあり、運転資金の借入先となっている。
 大好きな魚をたべて、遅い夕食を済ませた。ソファに横になってテレビを見ながら眠ってしまった。午前1時頃に目を覚まして、歯を磨いて久し振りにラジオを聞きながら眠ってしまった。
 日曜日は、比較的早く家を出た。目的地は群馬県前橋市。妻の実家の跡取息子の結婚式があるからだ。息子二人と車で出掛けた。妻は親戚の者と電車で向った。
 予定より1時間早く会場へ着いた。久し振りの親戚との顔合わせだった。皆さんと歓談して長い結婚式に参列した。何しろ跡取の結婚式というセレモニーであり一流ホテルの最高級の式典だった。
 自分には不似合いの場だった。親族紹介から始まり、教会での結婚式。宴会場での披露宴。終わりまで5時間を要した。
 しかし、何のための会だったか。何の関係も無いキリスト教での結婚式。また、人が多いだけで内容の無い披露宴。一体誰が喜んでいるのか。我々の時代とは違って隔世の感がある。
 披露宴ではテーブルの上に男性が上がって、全裸を披露したのには呆れ果ててしまった。その間、静かでただひたすら食事が出て歓談して、食べるだけ。挨拶は2名。歌が2名。後ななし。何も無かった。その裸の男が、一番の印象に残ったとは。
 確かに、何度もお色直しという事で着せ替え人形みたいに、新郎新婦が着ているものを替えた。
 キャンドルサービスの時に、新郎が
 「おじさんに、親族代表の締めとバンザイ三唱をお願いします。」
 と、突然言い放った。
 半信半疑だったが、突然そんなことを言うのは非常識だと言うわけにも行かない。
 最後の最後、本当に親族代表として名前を呼ばれた。会場に詰め掛けた参列者の前で、聞かなかったという訳にも行かないので、落ち着いた風をしてマイクに向った。
 全て親掛かりの宴と、新居が平屋で40坪を越す建て屋を皮肉ってでもないが、自分が今関わっている仕事に関連して、自立する気持ちを失わないように釘を刺した。

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