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トップハート物語(412)立志伝昇竜編
11/11/30
2003年(平成15年)6月初旬。今月は当社の決算月だ。この月までに経費を使って利益を圧縮して欲しいと、税理士から言われている。しかし、彼の見積りである500万円以上の利益は眉唾物で現実は彼の言っている半額くらいが正解ではないかと思っている。その税理士は、当社のヘルパーさんの紹介であるが、能力は疑わしい。多分私の方が上だと思う。その積りで、行かないととんでもない事になる。
 今回、乗降介助の加算指定事業所の届出には事故対策センターの適正診断を受けることが条件だったが、その結果に眼を通した。
 皆の性格的な項目は、私が日頃感じていたような内容だった。約20人が受けたが、性格が芳しくない部類の協調性など薄いと判定が出ている者は、本社管理者Kと私の居る事業所管理者の2名だ。
 表に時々出るその性格を、口頭で注意しているが、凄い形相で睨みつけて反論し受け入れる気持ちは微塵も無いのは確かだ。しかし、その強い性格が強引でも皆を引っ張って行く方向に作用していることは否めない。
 本社管理者は、経理を兼務している。給与振込も担当しているのに、何と言うか先月振込みを忘れてしまった。忙しいという理由さえあれば自分の考えが正しいと思う気持ちが強いかもしれない。
 昼は一度自室へ戻って、昼食を摂った。昨夜、サバの味噌煮を作った。久し振りに、時間が取れたので夜の8時半頃から調理に掛かった。
 調理の一番大事な場面で電話が鳴った。火を消して対応し、再び調理。しかし、しつこいように何度も電話がある。皆、当社の社員で3人が、続けて何度も掛けて来る。
 「もういい加減にしろよ。たまには調理をさせてくれ。」
 「マメですね。今度、自宅へ行きますから、ご馳走して下さい。」
 「時々、こちらの社員には昼食時のおかずを提供している。」
 「予定を立てますので、お願いします。」
 なんて話をしていたが、面倒で火を消さなかった。切ると掛かって来て、その面倒さが災いした。焦げてしまった。サバそのものが焦げてしまったのだ。何ということをしたのだと、社員に当り散らした。
 初めて掛けて来た、本社責任者へ
 「もういい加減にしてくれないか。」
 と、強い口調で言ったものだから一瞬押し黙って、まずい空気が流れた。
 「調理をさせてくれ。」
 と、冗談交じりに言ったので、何となく雰囲気が和らいで元に戻った。
 昼食後は、訪問介護員養成講座の受講生に対する同行訪問があるために事務所へ行った。受講生は、専門学校の教頭先生だ。
 「不登校の生徒を通信の手段を利用して、高校を卒業させることが主眼だが、中にはその卒業すら難しい生徒も存在する。そのために、福祉の方面の資格を取得させて社会人として送り出すプランがあり、自分が先鞭をつけて資格取得を計ったのです。」
という。
 大阪の学校に在籍している時に受講申し込みをしたが、講習途中で広島へ転勤になってしまった。その広島から、講習のたびに通学して来る。
 同行訪問に行く前の話の中で、自分が体験してみて、
「その専門学校の不登校生徒を訪問介護員養成講座を卒業させるには、かなりの難しさがあるという事が分かりました。」
と、断念したようだ。私共が、その様な企画を受け入れて実施しても良いが、話を聞いて無理と悟った。
 時間を守らせることが出来ないという。講義の部分は勿論、問題は実習先との関係になって来ると思う。今でも厳しい状態に晒されているのに、これ以上問題を起こしたらもう講習も出来なくなってしまう。
 3時頃に、入院中の利用者を見舞った。最初は機嫌が良かったが、何しろ何を話しているか言葉も分らず、3人で苦労して何度も聞き出したが全く理解出来ない。歯が1本しかない。仕方が無いので筆談をしようとしたが、また何を書いているのか分らない。
 そのうちに、震えて怒り出した。ジェスチャーで叩くようなしぐさを繰り返し、唇を震わせていた。何しろ脳梗塞を何度か発症しているので、この後何が起こるか怖いので、ソクサクと退散した。
 埼玉の事業所から相談の電話があった。
 「ケアマネジャーの母親なのですが、結核に掛かっているかどうか検査をしています。結果が出るまでの間援助をお願いしたいと相談がありましたが、どうしたら良いですか。」
 あまりの唐突な相談で、返事に困ってしまった。しかし、話を進めていく間に管理者が既に派遣を決めているのが分った。陰性だったら大変なことになること、感染した場合の補償、責任のある立場にある者が対応すること、等話をして切った。

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