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- トップハート物語(401)立志伝昇竜編
- 11/11/10
- 2003年(平成15年)5月下旬。もう3ヶ月も入院している男性利用者へ見舞いに行った。半身不随のためベット横に備え付けられているポータブルトイレの手すりは特注で半円形に成っており、立って排泄できるように高くなっている。
高い分不安定で私は何となく不安だったが、やはり深夜排泄しようとしてバランスを崩した時にそのまま転倒してしまったようだ。
どうしてこのような形態になっているのか、ケアマネジャーに事前に想定できるじゃないかと抗議した。大手の福祉機器会社がいつもそのケアマネジャーについているが、対応するものが余りにも杜撰でいつもおかしいと感じている。
この場合、床との接地面が広ければ、又は固定していれば倒れることが無いのは簡単に分ること。これは人災だと思う。それなのに、独居をいいことに誰も文句を言わない。利用者は、
「このままでは皆に迷惑が掛かるので、施設へ入ろうかな。」
と、あれほど嫌がって施設から奇跡的に出て来たのにそんなことを言わせるのは、やはり周りの援助をする者たちが悪いのか。独居で身寄りの無い老人の行く末は、公共の施設と決まっている。
それを、面会に行ったケアマネジャーに泣いて頼んで身元引受人になって貰い、奇跡の脱出が出来たのだ。
丁度面会に行った時は、診察室に入るところで声を掛けられて、その利用者だと初めて気が付いた。
かなり痩せている。少なくても20kg近くは減っているという。偏食家で、食べたくないものは手をつけない。例えば、肉は牛肉だけとか、パンはアンパンだけ等という具合だ。病院食が合わないのだろうし、差し入れをしてくれる人も居ない。
この日に、ギブスが取れた。あばら骨を5本と肩の付け根を骨折した。当初は、1~2ヶ月と言われたが、この日で丁度3ヶ月目だ。26日には戻って来そうだ。
「戻って来たら毎日3回丁寧に援助をしてあげる。」
と励ました。
次々とヘルパーさんが拒否をしたセクハラ爺さんだが、こうして離れると早く戻って来て欲しいと思う。
部屋のポータブルトイレは、私の意見を聞き入れて固定することになった。工事関係者が集まって、結局はベットにポータブルトイレの手摺の一部を固定して、転倒しないようにした。あのくしゃくしゃの顔が来週戻って来る。調整が大変だ。
長距離の移動をタクシーでしたいと、利用者やケアマネジャーから金額がいくらくらいか聞いて欲しいと何度も連絡があった。と言うのは、当社はタクシー会社とも提携しておりヘルパーさんが付くのを基本に、利用者やケアマネジャーが依頼をして来る。
しかし、今回の依頼は障害者であってもまだ受給者証が無く、自費で行くとの希望だ。今までは、その公共リハビリ施設までバス・電車を乗り継いで行っていた。
見積りを依頼されたタクシー会社は、実車する為にその長い距離を走行している。その間、ケアマネジャー、利用者からどのくらいかとまた何度も聞いて来た。
やっとタクシー会社から返事が来て、
「1時間くらい掛かりますので、凡そ1万560円位です。」
夜遅くなったが、その金額を利用者へ告げると、声も出なかった。私は、その感じを悟って
「タクシーですよ。そんなに安いわけないじゃないですか。」
「そうですね。迷惑を掛けました。ケアマネジャーが来た時に、丁度新聞の車の通院介助の記事を見て話をしたのですが、『車での通院介助はもう少しで出来るようになりますので』と言われたのですが今回の、私が行きたいところへは連れて行ってくれるのでしょうか。」
介護とは関係の無いところへは無理だということを話したが、何とかならないかと言われた。もし、当社が乗降介助の加算事業所として指定を受け、ケアプランを作成されたら対応をしないといけないがタクシーで1時間を要する距離の点数が100点なんて、お断りするしかない。
入院していたある利用者が何時の間にか退院して来た。それと同じような電話があった。
「お宅は、病院へ連れて行ってくれなくなったの。まだ、流しでもやっているならお願いしたいのだけど。」
当社が、毎日行っていた通院介助がタクシーの流しのおっさんが商売で連れて行っていたと思っているらしい。
「今は出来ないが、来月から連れて行ってあげますのでケアマネジャーと相談して下さい。」
ケアマネジャーから直ぐに連絡が入った。
「市に確認したら、介護タクシーの申請書の写しを頂いて置くのが確実だと思いますと言われたので、失礼ですがその写しをもらえますか。」
直ぐに戻ってFAXを送った。
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