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トップハート物語(376)立志伝昇竜編
11/10/04
2003年(平成15年)4月中旬。埼玉事業所の管理責任者は、頭が切れて優秀な人材だ。埼玉事業所の責任者に採用されることが決まってから、当社事務所で寝泊りし2週間以上研修を受けた。その彼は、当社の誰よりも仕事をして私の指示をよく理解して、どんなことでもクリアしてくれた。
 一番有り難かったのは、訪問介護員養成講座用の添削問題を一晩で作り上げたことだ。塾の講師をしていただけあって、その点はさすがとうならせた。
 埼玉事業所主催で訪問介護員養成講座を20日に開講する。その募集が一月前から始まった。その間、全く反応無し。3週間過ぎて、申込者が3名だと連絡があった。聞くのも哀れで、その間の広告は、日曜日ごとに3回打っている。
 7日に埼玉へ戻った時に、彼を励まし、出来ることは何でもするように言って来た。ポスティング、折り込みチラシなど。13日の日曜日に連絡した時には、輪転機を回している時だった。独自のデザインで、チラシを作って折込を依頼するという。1枚3円くらいだと言う。3万枚で9万円。受講料一人分では少し足りない。
 15日、火曜日また電話を掛けた。この日新聞に折込を入れた。
 「いま、その件で大忙しです。」
 「申し込みが来ているのですか。」
 「ハイ」
 「忙しそうなので、またあとから掛ける。」
 と言って、一旦電話を切った。
 夜に彼から電話があった。
 「定員を確保しました。今断っている状態です。」
 こんな急変するなんて信じられない。
 「もし、定員をオーバーしそうだったら県に話して、変更申請が出来るか相談するように。」
 「はい。」
 翌々17日確認の連絡をした。
 「定員がオーバーの申し込みが殺到しているようですね。」
 「既に次の講座へ10人以上の予約が出ました。」
 「予約なんて当てにならない。定員増の申請を検討して下さい。」
 「私も管理者にその指示をしたのですが、それは出来ませんという返事です。」
 「何を言っているのですか。自分で判断しないで、県の担当者へ聞いて下さい。」
 「それを指示しているのですが、出来ないというばかりでフリーズしてしまっています。」
 「それでは私が電話して確認していいですか?」
 「お願いします。」
 埼玉県庁と、出先機関に連絡。
 18日中に変更申請を出してくれれば了解をする旨連絡を頂いた。
 そのことを埼玉事業所に伝えてホッとしたが、夜電話があった。
 管理責任者が寝込んでしまったという。施設実習は何とか書類を揃えたが、同行訪問が心配だと言う。今現在の、埼玉事業所の利用者数では受け入れが出来ない可能性がある、というのだ。
 「現時点ではそうだが、現在ひと月当たり数件の新規が確実に入って来ているし、同行訪問のある7月まで新たな、同行訪問をしてくれる事業所を探せば良いのではないか。その時にまた変更申請を出せば。」
 「それがうまく行かなかったら、どうしましょう。また変更申請を出すなんて出来ません。何度も出したら、役所に目をつけられて今度は出来なくなるかもしれない。」
 「何を言っているか。変更制度があるからそれを活用して何が悪いのだ。依頼先の色んな事情で、実習が不可能になることもある。その時はどうするのだ。他を見つけて変更して実施するほかないのではないか。」
 管理者に電話を替わった。
 「彼は、秀才で一旦出した書類を直したり変更したりするのは罪だという意識が強いのです。」
 「そんな人間は替えた方がいい。勝手に自分で判断して、いつも返事だけでやらない。チャンスはいつでもある。何でもしてそのチャンスを見つけないと。何もしないで机上で判断して結論付ける奴なんて必要ない。相手するだけで疲れてしまう。」
 その夜、開講と講義の為にまた埼玉へ向う。20日夜に講義の後戻って来る予定だ。

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